第306回研究講演会開催報告


情報処理学会東北支部第306回学術講演会報告
開催日時:平成15年12月9日(火)10時30分〜12時00分
開催場所:東北大学電気通信研究所 2号館2階W214号室

講師:Wai-Tung Ng 氏(カナダ・トロント大学電気電子工学科助教授)
演題:Advanced Power Management in Today's Power-Hungry Mobile

講演内容:

ディープサブミクロンMOS集積回路の微細加工技術の進展に伴い、消費電力の 増大が深刻な問題となっている。この講演では、まずMOSトランジスタのゲート 酸化膜をトンネルするリーク電流を分類し、ゲート酸化膜厚とリーク電流との実 測データに基づいて電子回路解析プログラムHSPICE上でのゲートリーク電流を考 慮したMOSトランジスタのモデル示すと共に、ゲートリーク電流の温度依存性、 基板バイアス電圧依存性、電源電圧依存性などを明らかにした。また、ゲート リーク電流を減少させる回路的解決手法として、電源電圧の動的スケーリング (dynamic voltage scaling:DVS)手法とトランジスタしきい電圧の動的スケー リング(dynamic Vth scaling:DVTS)手法を紹介した。クリティカルパス上にない 演算器では動作周波数を低減できる点に着目し、演算実行に応じて適宜動的に電 源電圧、並びにしきい電圧を制御(基板バイアス電圧を変更することで制御)す る手法を紹介した。最後に、提案回路手法を組み込んだ実LSIチップにて提案手 法の有用性を定量的に評価した結果を明らかにした。

参加者:約30名
報告者:羽生貴弘
〒980-8577 仙台市青葉区片平2−1−1
東北大学電気通信研究所