情報処理学会東北支部第347回研究講演会開催報告



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日時:平成21年11月10日(火) 12:40〜14:10
会場:弘前大学 理工学部1号館 10番講義室
講師:千葉大学大学院 工学研究科 伊藤智義 教授
演題:専用計算機システムによる科学技術−宇宙・生命・3次元映像への応用

概要:
  コンピュータの性能は日々向上していますが、今日の高速なコンピュータでも解
  けない問題はまだたくさん残っています。その中には、専用の計算機システムを
  開発することで解決できる問題もあります。計算機科学の研究として、大学院生
  時代に天文学専用のコンピュータGRAPEの開発を行いました。続いてGRAPEをタン
  パク質のシミュレーション用に改良した専用コンピュータを開発しました。教員
  になってからは、3次元映像技術の一つであるホログラフィに興味を持ち、ホロ
  グラフィ計算専用のシステムHORNの開発を中心に、3次元テレビの実現をめざす
  研究を続けています。上記の研究テーマは、一見すると何の関連もないように思
  われます。しかし、科学の各分野は意外なところで接点を持っていたりします。
  専用計算機システムをベースにした科学技術の例を紹介するとともに、進展し続
  ける計算機開発の実際について、お話ししたいと思います。

講演報告:
  講演者は、GRAPEの初期開発者であり、「栄光なき天才たち」の原作者であり、そ
  して、「スーパーコンピューターを20万円で創る」の著者としても知られていま
  す。講演では、GRAPEの開発にたずさわることになったきっかけから、苦労して完
  成までこぎつけた経過、その後のGRAPEの発展にいたるまで、わかりやすく丁寧に
  説明していただきました。まるで、上記の著書の内容をダイジェストで紹介して
  いただいているようでした。更に、GRAPEの原理を応用したホログラフィ専用計算
  機の開発の着想から開発までのお話、ホログラフィによる3次元の動画の紹介、
  そして、最後に、千葉大学の伊藤研究室のアクティビティの紹介にいたるまで、
  90分の講演が短く感じられました。寝ている学生が誰もいなかったことが印象
  的です。学部学生、大学院生、教員からの質問にも丁寧に答えていただきました。
  講演終了後に、メモを片手に質問にきた大学院生にも丁寧に答えていただきまし
  た。数日後、ある学生は、「モチベーションが上がった」と私に言っていました。
  将来の情報処理学会東北支部の会員になる学生に良い刺激になったと思います。

参加者:約85人
報告者:斎藤稔(弘前大学理工学部電子情報工学科)
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