第350回研究講演会開催報告



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 日時:12月18日(金) 14:30〜16:00
 会場:秋田県立大学本荘キャンパス K321 教室
 講演者:東京大学特任准教授 片桐 孝洋 氏

 講演題目:ソフトウェア自動チューニング:パソコンからスパコンまでの先進最適化技術
                         −−数値計算ライブラリを中心に−−

 概要:
 ペタフロップス演算性能をもつスーパーコンピューターに代表される最先端計算機は,超並列型,
 マルチコア型,多階層記憶,非均質データアクセスなど,計算機アーキテクチャの観点で複雑な
 構成を取るようになっている。一方,個人所有のパソコンにおいても,マルチコア型の廉価なCPUが
 普及し最先端計算機と同様の状況となっている。このように複雑化された計算機環境では,
 コンパイラの自動最適化だけでは十分な速度向上が達成できない。そこで,ユーザがもつ計算機の
 物理特性,および,ユーザが実行時に設定する行列特性を検出した上で,適する実装方式や数値
 アルゴリズムを選択する「ソフトウェア自動チューニング」技術が国内外で注目されている。本講演では,
 この自動チューニング技術の最新動向について,主に線形計算について行列が密な場合と疎な場合に
 分けて,ブロック化のサイズ,ループアンローリングの段数などを解説した。取り扱った問題は,固有値
 解法と連立一次方程式であり,最新の並列計算機 T2K での実験例が紹介された。

 講演報告:
 数値解析,HPCを専門とする研究者だけでなく,そういった分野を目指している学部4年生,大学院生
 なども視野に入れたわかりやすい講演であった。最新のスーパーコンピュータのアーキテクチャの
 解説から始り,大規模線形計算に関する最先端の研究内容まで紹介された。

 参加者:22名
 報告者:小澤 一文(秋田県立大学システム科学技術学部)

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