高性能計算(HPC)システムを必要とするアプリケーションは,その性能を最大限に引き出すために,特定のHPCシステムを強く意識したコードの開発が行われている.近年多様なHPCシステムが登場しており,特定のHPCシステムだけでなく様々なHPCシステムにおいても高い性能を引き出すことができるコードが強く求められている.しかしながら,そのようなコードの最適化には大幅な修正が必要となっている.
今回受賞対象となった論文では,コンパイル情報を活用して,様々なHPCシステムにおいても性能を引き出すことができるOpenMP並列コードを容易に開発する手法を提案している.特定のHPCシステムを意識したコードのコンパイル情報が,他のHPCシステムにおいても有用であることに着目し,提案する手法ではコンパイラの並列化情報から並列化可能な場所を特定している.これにより,並列化の際のプログラマの負担を抑えつつ,他のHPCシステムにおいても効果的な並列コードを開発することができる. 実験により,提案手法による並列コードが様々なHPCシステムにおいて高い性能を達成できることを明らかにしている.
この度,野口研究奨励賞という大変名誉ある賞を受賞することができ,情報処理学会東北支部の皆様に深く感謝申し上げます.また,本研究を遂行するにあたり,小林広明先生,滝沢寛之先生,江川隆輔先生には,多大なるご指導をいただきました.厚く御礼申し上げます.今後も情報処理分野の発展のため,尽力してまいります.