第12回野口研究奨励賞

長洲航平 (ながす こうへい)東北大学 大学院 情報科学研究科

[研究の概要]

津波の規模や到達時間などを正確に予測する高性能シミュレーションが求められている.この様なシミュレーションにしばしば用いられるスーパーコンピュータは,常時運用されている場合が多く,即座に緊急ジョブを実行することが困難である.また,膨大な電力を消費するため,地震などの災害発生後の不安定な電力供給の下では,安定した大規模計算ができない可能性がある.このため,高性能かつ低消費電力である津波シミュレーション専用計算機が必要である.

今回受賞対象となった論文では,近年大規模数値計算の実行に有用な環境が整いつつあるFPGAを用いて,専用計算機の開発を行っている.FPGAを利用した津波シミュレーションの例は少なく,専用回路を一から設計する必要があった.そのため,既存の津波計算ソフトウェアを基に,ハードウェア向けの計算アルゴリズムを考案し,これに基づき,シミュレーションの一連の計算を行うパイプラインを設計している.このパイプラインを粗粒度な時空間的並列性に基づいてアレイ状に配置し,アレイのパラメータによって定義される設計空間の探索を行った.その結果,最適設計においては,同一のシミュレーションをGPUによって実行した場合と比較して,1.7倍の計算性能,7.1倍の電力性能比を達成し,本研究で提案した津波シミュレーション専用計算機の優位性を示すことができている.また,提案したアーキテクチャの性能モデルを考案し,これによって将来利用可能となるより大規模なFPGAにおいて,更なる性能向上を達成できることを明らかにしている.

[受賞の感想]

この度,野口研究奨励賞を受賞できたことは大変光栄と存じており,情報処理学会東北支部の皆様には深く感謝申し上げます.この様な名誉ある賞を受賞できたのも,佐野健太郎先生,山本悟先生,古澤卓先生の多大なるご指導の賜物であると存じており,深く御礼申し上げます.今後も,情報処理分野のますますの発展のために,励んで参ります.

award/2016noguchi.txt · 最終更新: 2019/07/10 (外部編集)