第16回(令和2年度)野口研究奨励賞

受賞者





宮原 大輝
東北大学 サイバーサイエンスセンター 日本学術振興会特別研究員(PD)

研究の概要

トランプカードのような物理的なカード組を用いて秘密計算などの暗号機能を実現する手法は、カードベース暗号と呼ばれる。カードベース暗号はカード組の物理的な性質(裏になったカードの表面は見えない)に基づいて計算を行うため、コンピュータを用いずに人間の手だけで計算できることが特徴である。本研究では、ペンシルパズルである数独に対して、健全性エラーが存在しないカードベースなゼロ知識証明プロトコルの効率的な構成を与えた。すなわち、証明者はある数独パズルに解が存在することを、その解に関する情報を一切漏らさすことなく検証者を納得させることができ、解が存在しない場合は、どのように証明者が振舞っても検証者を納得させることができない。本研究はカードベース暗号の実践的な応用先の1つとして「ペンシルパズルに対するカードベースな物理的ゼロ知識証明」の方向性を示し、この研究分野の基礎となっている。数独は世界で最も有名なペンシルパズルであり、その計算複雑性に関する研究も多数報告されているため、本研究が理論計算機科学分野の発展に寄与するところは少なくない。

受賞の感想

野口研究奨励賞という名誉ある賞を頂き、大変光栄です。情報処理学会東北支部の皆さま並びに選考委員会の方々に厚く御礼申し上げます。受賞対象となった本研究は、佐々木達也氏、水木敬明先生、曽根秀昭先生のご支援の下、遂行することができました。厚く御礼申し上げます.今後も研究開発を推進し、少しでも情報処理分野の発展に貢献できるよう日々精進していく所存です。

award/2020noguchi.txt · 最終更新: 2021/07/08 by admin