- 研究会・講演会
- お知らせ等
- 入会のご案内(本部のページへ)
- 関連リンク
古市朋之
東北大学 電気通信研究所 助教
タイトル:RF Signal Frequency Identification in a Direct RF Undersampling Multi-Band Real-Time Spectrum Monitor for Wireless IoT Usage
著者名:Tomoyuki Furuichi, Mizuki Motoyoshi, Suguru Kameda, Takashi Shiba, Noriharu Suematsu
掲載論文誌名:IEICE TRANSACTIONS on Communications
巻号・ページ・出版年月等:Vol.E105-B, No.4, pp.461-471, April 2022.
無線IoTデバイスの急速な普及に伴い、無線LANやBluetoothなどの免許不要の周波数帯を利用する複数の無線通信システムが工場などの限られた空間に高密度に配置される環境においては、システム間の電波干渉による通信障害が問題となり、電波環境を監視するための低コストかつ小型なスペクトラムモニタの実現が求められる。本論文では、RF周波数よりも低速のサンプリング周波数のA/D変換器(ADC)で直接受信するダイレクトRFアンダーサンプリング受信機の構成で、サンプリング周波数が異なる複数のADCでアンダーサンプリングにより得られたディジタル信号から、受信したRF周波数を一意に特定する手法を提案している。提案手法では、無線IoTで主に利用されるマルチバンド(920 MHz, 2.4 GHz帯, 5 GHz帯)の周波数を一意に特定するためのサンプリング周波数の設計条件を明らかにした。従来手法では、DCから受信するRF信号の最高周波数までの連続範囲での設計に限られていたが、提案手法では無線IoTで利用されるような周波数帯がそれぞれ離れたマルチバンドのケースに着目することで、特定に必要となるサンプリング周波数の種類(即ちADCの数)が削減できることを示した。本論文の提案手法は、無線IoT用広帯域リアルタイムスペクトラムモニタ装置の開発に応用され、低コストかつ小型なスペクトラムモニタの実現に寄与している。
この度は、野口研究奨励賞という名誉ある賞を頂き大変光栄です。情報処理学会東北支部の皆様ならびに選考に携わった皆様に深く感謝申し上げます。本研究は、私が博士課程で取り組んだものでしたが、その後本研究が発展してスペクトラムモニタの開発が実現し、開発された装置を工場など現場の方に実際に使って頂き、社会で実際に活用されるまで携わることができたことは大変貴重な経験をさせて頂いたと思います。これもひとえに学生時代からご指導を頂きました末松憲治先生、芝隆司先生、亀田卓先生、本良瑞樹先生のご支援のおかげであり、深く感謝いたします。本賞を励みに、今後も情報処理分野の発展に貢献できるよう研究活動に取り組んで参ります。